2022年3月2日に自身初の自選歌詞集「こんなに美しい月の夜を君は知らない」を発売した乃木坂46のプロデューサー・秋元康氏。その番宣の1つとして山崎怜奈がパーソナリティーを務める「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。」に出演をしました。
そこで、乃木坂46をはじめとした坂道楽曲の言葉数の多さについての悩みを打ち明けた山崎怜奈。
確かに、乃木坂46はじめ坂道楽曲は音に対しての言葉数が多いですよね。ファンも気になっていたことだと思います。
それを対する秋元先生の答えが個人的に面白かったです。
出典:https://twitter.com/
歌詞を詰め込むラップ調が多い乃木坂46楽曲
乃木坂46の楽曲は音に対する言葉数が多くラップ調になっているのが悩みだという山崎怜奈。MVを撮影する時などに思ってもみなかったほどの言葉数があった際、活舌悪いメンバーと練習してたりしていて大変だという。
欅坂46の「エキセントリック」も例に挙げ、ファンもカラオケとかで歌うのは大変ではないかとのこと。
確かに、あれは歌うの大変だ。実際、歌詞を書いた秋元康氏もすんなりとは歌えないそう。れなちも言っていたように、秋元先生の書く坂道曲の歌詞は、歌詞を詰め込んでいてラップみたいである。
秋元先生曰く、これは作曲家から送られてきたデモ自体が歌詞が詰め込まれている時もあるらしい。ただ、作曲家のデモの段階ではもう少し緩い譜割りだった時に、もっと歌詞を詰め込んだ方が面白いと判断しあえて言葉数を多くする場合もあるとのこと。
前途した欅坂のエキセントリックは、何度も歌詞を書き直し、作曲者のナスカ氏に仮歌を取り直してもらったとも言っていた。言葉のノリが頭で考えたのと実際に相違がないかの確認のためだという。
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秋元先生が歌詞をどれだけ拘って書いているかがこのエピソードだけでもわかる。では、そこまでして歌詞を詰め込むのだろうか?
そこに関しても秋元先生自身が語っていたので、そこも見ていこう。
秋元康の意図と作曲家との共通点
歌詞を詰め込んでラップみたいにする理由として、大きく分けて2つあるようだ。
1つは、秋元先生自身の音楽的ルーツだ。秋元先生は1960年代~70年代のフォークソングに影響を受けている。あの時代のフォークソングは字余りが多かった。吉田拓郎さんなんかまっさしくそうだ。
このような畳み掛ける歌詞というのが1つの表現方法として優れているという考えが秋元先生にあるようだ。
また、この音楽的ルーツという意味で作曲家と共通点する部分がある。「気づいたら片想い」の作曲家・Akira Sunset氏だ。Akira Sunset氏は高校時代レコードの購入をきっかけにヒップホップにハマった。そして自身が所属していたユニット・SafariやHighsidEではラップを担当していた。
「気づいたら片想い」は歌謡曲テイストのメロディアスなナンバーでありながら、ABメロはラップ調でもある。このメロラップこそAkira Sunset氏の音楽的ルーツが垣間見える彼の真骨頂と言えるだろう。「ハルジオンが咲く頃」のBメロや欅坂46の「手を繋いで帰ろうか」然り。
乃木坂46をはじめとした坂道楽曲で歌詞を詰め込んだラップ調が多いのは、秋元先生自身のルーツに加え、それが作曲家のルーツにも共通しているというのも大きな要因なのだろう。
また、「君の名は希望」など乃木坂46を象徴する楽曲を数多く生み出してきた作曲家・杉山勝彦氏も自身が所属するTANEBIがフォークデュオである。音楽って視点次第でどこまでも繋がるから面白い。
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秋元先生が歌詞を詰め込む理由はもう1つある。それは前途した内容と若干重複するが、人はあたふたしてる感じのが人間らしいからとのこと。
「山崎がラジオのCM前にぴったりしゃべり終わってどや顔するよりこぼれちゃってあたふたしてる方がいい」と冗談ぽく山崎怜奈を例に出して語った秋元先生。さらに、告白をする場合でも理路整然と好きですと言われるより「この人何言ってんだ」って感じで焦ったまま好きと言われた方が伝わるのではないかと持論を語った。
この秋元先生の思想からAKB48「大声ダイヤモンド」のような片想いする男子が必死に好きを伝えようとする歌詞や「君の名は希望」のようなシチュエーションが生まれるのだろう。
歌詞を詰め込むラップ調はボカロ楽曲にも通じる。フォークとボカロ、ラップは一見繋がらないが、時代は繰り返すのかもしれない。ボカロ出身のアーティストが盛り上がっている令和で、フォークという自身のルーツを生かして時代にフィットした楽曲を生み出せている秋元康氏はやはり敏腕プロデューサーだと思う。